2015年10月23日金曜日

広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。/読了後、感想。

基本的には「人が動いた」事例の列挙とその事例解析の対談集。

刺激的なタイトルや、「人を動かせない時代」に「人を動かす」ヒントがここにある。と言う魅力的なキャッチコピーで読み手の興味をそそる本書。
しかしながら、こと「広告」の「表現・技術」に関しては、深く掘り下げている訳では有りません。「広告を打つ手法・媒体」が多種多様な現代、どの媒体を選べばベストな広告になるのかは、ベテランの広告マンでも見極めは大変難しいと述べる程度にとどまっています。だから「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」と言ってみました的な内容となっています。

構成は3部構成で、Part1の担当は田端信太郎氏。作者紹介から現在と過去の広告比較及び概論を説きます。Part2は事例紹介。田端信太郎氏と本田哲也氏の共著となり、千人、一万人、十万人、百万人、一千万人、一億人、十億人と人が動いた事例を挙げ、著者二人の対談形式で事例の分析を試みます。そしてPart3が本田哲也氏の担当で、「人が動く」「人を動かす」と言う事の総括を行います。

本書の中で読み応えが有った部分はPart2の部分で、「人が動いた」事例ともとに、どうすれば「人が動くか」と言う分析を対談形式で追っていく訳ですが、結局、大多数の人が動く事例も、最初の一人が動かなければ何も始まらないと、その一人を動かす物は基本「エモーショナル(感情に訴え掛ける)」な部分であると分析しています。
世の中には情報が溢れ過ぎ、一説では、現代人が一日に受け取る情報量は、江戸時代に生きた人達の一生分の情報量と言われています。
本書では、そんな情報過多の現代において、受ける情報を取捨選択する主導権は、消費者側に存在しており、情報の発信側が効果的に情報を広め人を動かす為には、発信したい情報を「広告」と言う枠に嵌めるのでは無く、PR(Public Relations)と言う視点で見ないと駄目であると説きます。
そして、情報の出し手がまず考えるべき事は、情報の受け手をコントロールできない(お金の掛からない)PR(新聞記事や雑誌の特集記事etc)やソーシャルメディアを使い、「市場を創り出す事」で、「ペイドメディア(広告)は最後の検討手段」と言う考えで帰結する点は、広告制作に従事する立場の人間からすると、危機感を感じた部分ではあります。


紙の本としても図を用いて説明する部分も多い構成が読みやく、スマートフォンやタブレット等で読める電子版も平行して販売されており、読み方も選べる本書は、広告の発注・制作に関わる方や広告やPRの業界を目指す学生さん等には、参考になる良書であると感じました。
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広告の事、勉強したい?


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